第10回 コラム(2018/06/18)
【「クラウドサービスを利用するか?」それとも「オンプレミスで構築するか?」は、もはや重要ではない!システム稼働環境の垣根を無くして超効率的な「システム活用」を目指す!】
今更ですが、業務システムを利用する最大の目的って何だと思われますか?
「業務処理の効率化?」「人件費の削減?」「データの蓄積と活用?」…などなど。これらはいづれも正解で、システムを活用する上で、とても重要な目的です。
これらの目的を踏まえ、「ビジネスの成長を加速させること」が業務システムを利用する目的であり、業務システムはその「道具」であると考えます。業務システムの存在意義をこのように考えた場合、タイトルに挙げたような「クラウド」や「オンプレミス」といった『システムの提供形態』が障壁となって、システムの活用や蓄積されている業務データの活用が進まないといった問題が発生することが考えられますが、皆さんの会社ではいかがでしょうか?
当社の顧客でも「システムの提供形態」に起因して、クラウド上のシステム(SaaS)と、オンプレミスのシステム(基幹システム)が完全に分断され、システム間のデータ連携が全く出来ていなかったり、データ二重登録を行っているケースがありました。これでは「業務システムを利用する目的」を達成するどころか、業務システムを利用/運用するために、従来よりも業務効率が悪化したり、費用が増加してしまったりと、本来の目的と逆の方向に進んでしまうケースが考えられ、これでは本末転倒です。システムの提供形態という「障壁」を取り除き、どのシステムからでも相互にデータを利用できる仕組みが必要です。時代背景的にも、このような「障壁」を取り除くことが急務です。2015年10月に発足した「第3次安倍晋三改造内閣」の目玉プランとして掲げられた「一億総活躍社会」の実現に向け、その最大のチャレンジとして位置付けられた「働き方改革」が今年最もホットなキーワードになっています。
今年に入ってから「働き方改革」というテーマを掲げた新サービスやセミナーが数多く展開されており、多くの方から注目を浴びています。「働き方改革」を実現するには、仕事に従事する「場所」に縛られない仕組みづくりが大切であり、「システムの提供形態」という障壁を取り除き、場所を選ばず、業務に必要なシステムやデータにアクセスできる環境を提供していく必要があります。
では「障壁」を取り除くには、具体的にどのような方法が考えられるでしょうか?業務システムの目線で見た場合に、日常業務で作り出される最も重要なモノは何か?
それは間違いなく「業務データ」です。
この「業務データ」が各システム間でシェアされており、かつこれらの整合性が担保されていれば、そのインタフェースである「システム」および「システムの提供形態」は様々な選択肢があって良いものと考えます。むしろ、利用者や目的に合わせて最適なものを利用することが正しい選択です。これらを踏まえ、当社では「クラウドとオンプレミス間でデータをシームレスに連携する」というアプローチで、前述の「障壁」を取り除く提案を積極的に行っています。障壁を取り除く方法として「システムの提供形態をどちらかに合わせる」という考え方がありますが、システムを導入する際には、何らかの目的やメリットがあって「クラウド」や「オンプレミス」を選択しているはずなので、単純に提供形態を統一することでは、せっかく享受できるメリットを失なうことになってしまいます。
データ連携の具体的な方法として、当社では「Webサービスを用いたリアルタイムデータ連携」を推奨しており、これらを容易に実現するため、この機能に特化したツール(下記)の活用をオススメしています。
◎CData Drivers(CData Software Japan)
クラウド(SaaS)上のデータに対して仮想RDB接続を実現するドライバ製品。標準SQLを用いて既存システム(オンプレ/クラウド問わず)や各種ツールからのデータ連携を効率化することが可能。(JDBC/ODBC/ADOなどを提供)
【参考URL】
https://wagby-lab.jp/service/solution/cdata-drivers/
https://www.cdata.com/jp/jdbc/
◎CData API Server(CData Software Japan)
既存RDBのテーブル構造を基に、そこからREST APIを自動生成するAPI開発プラットフォーム。あらゆるデータストアからREST APIを自動生成/公開することが可能。REST/OData/JSONなどの汎用的なAPIに対応。
【参考URL】
https://www.cdata.com/jp/apiserver/
一般的に、各クラウドサービス(SaaS)では、外部システムからの接続を受け付けるためのAPIが公開されており、このAPIへアタッチするためのプログラムを開発することで、クラウドサービスとその他システムの間でのデータ連携が実現出来ますが、このAPIアタッチ用プログラムの開発は、下記のような理由で非常に手間が掛かります。
・クラウドサービス側が独自に実装しているAPIのため、API仕様を熟知して開発を進める必要がある
・クラウドサービス毎にAPI仕様が異なるため、複数のクラウドサービスと連携するためには、連携
先クラウドサービスそれぞれのAPI仕様を熟知する必要がある
・クラウドサービス側の都合で、突然API仕様が変更になる場合があるため、これらを常にウォッチ
して、適時対応を行う必要がある
特に3つ目に挙げております「突然API仕様が変更になる場合がある」に関しては非常に影響が大きい内容で、仕様変更前までは使えていたコマンドが仕様変更後には使えなくなったり、API経由で取得できるデータカラムが変更になったりと、運用に大きな影響が発生する可能性があります。もちろん、接続先クラウドサービスのAPI仕様の変更を随時ウォッチして、影響を与える可能性がある変更が発生した際に、迅速にインタフェースプログラムの改修を行うことで問題回避は可能ですが、これに掛かる時間や工数は多大なものになることは容易に想像できると思います。
企業成長を目指したシステムの利活用という観点で考えると、前述の接続先クラウドサービスのAPI仕様変更への対応といった、煩雑かつ非クリエイティブな対応に時間と工数を割くよりも、新たなモノや価値を生み出すような対応に時間を割くべきだと考えます。前述の「CData Drivers」は、各クラウドサービス側のAPI仕様変更をツールが吸収してくれるため、開発者側(ツールを用いたインタフェースプログラムの開発者)はこれらを一切意識する必要がなく、前述のような非クリエイティブな対応から解放され、企業の成長を目指したシステムの導入/改善に注力することが可能になります。
上記両ツールは、既存システムに対する影響を最小限に抑え、アドオン的にデータ連携機能を追加することが可能な製品です。機能もさることながら、何よりも「既存システムに対して極力影響を与えない」という点が、これら両ツールの最も有用なポイントであり、弊社として推奨する理由です。上記ツールは一例ですが、このような「ある分野に尖ったツール」を効果的に活用することで、システム間のデータ連携のみならず、システム刷新や移行、複数システムの多重運用などを容易に実現することが可能になります。
活用シーンや環境、抱えられている課題などを鑑みて、適切なツールの提案やこれらツールを活用したシステム全体構成の提案などを行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせを頂ければと思います。
文責:天井 誠一
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