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第9回 コラム(2018/05/18)

【業務システムの全面刷新は本当に必要?】
日本では、業務システムの運用コスト試算を「5年サイクル」で行うことが一般的なため、このタイミングでシステムの見直し(刷新)も行うケースが主流でしたが、昨今は状況が変わっており、刷新サイクルが長期化する傾向にあります。

一般社団法人 日本情報システムユーザー協会(JUAS)の調査では、近年の業務システム刷新サイクルは平均で「14年」と言われています。実際に、当社顧客でも同じシステムを17年以上利用しているケースがあり、刷新サイクルが長期化していることを実感しています。では、刷新サイクルが長期化している理由はどういった点にあるのでしょうか?

当社では以下の要因があるのではないかと推察しています。
①刷新に対する費用対効果が低い
②刷新に掛かる人的リソースを割くことができない
③刷新によって業務に与えるインパクトが大きい(不安)
④刷新の必要性を感じていない    ・・・などなど

企業の業務は日々進化しており、その進化が企業の成長へと繋がります。特に、時代の移り変わりが激しい昨今、その風潮はより顕著になっていると考えます。そんな激動の時代にいながら、業務を遂行するための「道具」である業務システムが古いままで、本当に戦っていけるのでしょうか?

企業の成長を止めないためにも、その成長の鍵を握る「業務」の進化に柔軟に対応できる「道具」を準備しておく必要があると考えます。つまりは「時代背景や業務の進化に合わせて、業務システムも”適切に”進化させる(刷新する)」ことが重要なのではないでしょうか?

その”足かせ”となっている要因(システム刷新が長期化している要因)を解消し、「業務システムの適切な進化」を実現するための方策として「ポイントを絞ったシステム刷新」を行ってみてはどうでしょうか?

全面刷新ではなくポイントを絞った刷新にフォーカスすることで、システム刷新の足かせを下記のように解消することができます。
①刷新に対する費用対効果が低い
→刷新を行う範囲が「必要な範囲」となるため、コストメリットが大きく、高い費用対効果を期待
 できる。
②刷新に掛かる人的リソースを割くことができない
→前述同様、刷新範囲が限定的であるため、必要となる人的リソースも 最小限に抑えることが
 できる。
③刷新によって業務に与えるインパクトが大きい(不安)
→これも前述同様、刷新範囲が限定的であるため、業務に与えるインパクトも最小限に抑えること
 ができると共に、日常業務を行いながらの段階的な刷新も実現することができる。
④刷新の必要性を感じていない
→全面的な刷新の必要性を感じていないケースはあるが、日常業務を行っていると、少なからず
 刷新の必要性を感じているポイントはあるはず。その必要性を感じているポイントに絞って
 実施するため、ユーザの理解も得やすい。ポイントを絞ったシステム刷新を成功させるために
 重要なポイントとしては、「現行システムならびに現行業務に影響を与えない」という点と
 「新旧システム間で確実なデータ引継ぎ(連携)を実現する」という点です。

いかにして、現行システムで業務を継続(データを更新)しつつ、刷新を行っていくのか。これらを実現するためには、リアルタイムにデータを連携することが可能なツールの活用が非常に有用です。旧来、リアルタイムにデータ連携するためのツールというとEAIツールやETLツールが主流でした。(今でも主流ですが・・・)

しかしながら、これらのツールは非常に高価なものが多く、前述の「費用対効果」という点で懸念がありました。現在では安価なEAI/ETLツールもリリースされており、積極的にこれらを活用することで、これまで課題となっていた点を容易にクリアすることが可能になりました。

当社で活用しているツールを以下にご紹介いたします。
◎DataMagic (セゾン情報システムズ)
DataMagicは、システム連携における「データ差異」を吸収するトランスレータ製品であり、文字コード変換やフォーマット変換、マージ/マッチングなどの「データ変換」に特化したツールです。データベースへの直接アタッチはもちろん、CSVなどのファイルインタフェースでの変換も可能です。データベースやファイルに対しての直接入出力が可能ですので、データ連携ツールとしても活用できます。また、その他の方法として、Webサービスを用いたリアルタイムデータ連携も近年の潮流になっています。

しかしながら、これまではWebサービスを用いた連携を行うためには、連携対象システムがWebサービスに対応している必要があったり、Webサービス連携を行うための個別開発が必要になったりと、様々なハードルがありました。これらを解消するツールとして、当社では下記のツールを活用しています。
◎CData Drivers(CData Software Japan)
クラウドサービス(SaaS)上のデータに対して仮想RDB接続を実現するドライバ製品です。
本ツールを利用することで、標準SQLを用いて既存業務システム(オンプレミス/クラウド問わず)や各種ツールからのデータ連携を効率化することが可能です。提供形態としては、JDBC/ODBC/ADOなどを提供しています。
【参考URL】
https://wagby-lab.jp/service/solution/cdata-drivers/
https://www.cdata.com/jp/jdbc/
◎CData API Server(CData Software Japan)
既存RDBやNoSQL DBなどからREST APIを自動生成するAPI開発プラットフォームです。あらゆるデータストアからAPIを自動生成/公開することができます。REST/OData/JSONなど、汎用的に利用されているAPIに対応しています。
【参考URL】
https://www.cdata.com/jp/apiserver/
EAI/ETLツールは皆さん馴染みのあるツールかと思いますが、Webサービスを用いたリアルタイムデータ連携が可能な「CData Drivers」および「CData API Server」はご存知ない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで、ぜひ皆さんに知って頂きたく、これら2製品を活用したシステム刷新例をご紹介させて頂きます。

ズバリ、キーワードは「ノンプログラミングで実現する移行と切替」です。

システム刷新を行う際には、必ず「新旧システム間でのデータ移行」が発生します。このデータ移行を円滑に行えるか否かがシステム刷新を成功に導けるかどうかの重要な鍵を握っています。システムを刷新する際、少なくとも、新システムリリース直後の「並行運用フェーズ」と、現行システム閉鎖時の「システム切替フェーズ」の2回はデータ移行を行う必要がありますが、前述の「CData Drivers」と「CData API Server」を活用することで、下記のような移行方式を採用することが可能です。

~ 並行運用フェーズ ~
1.現行システム側に対して「CData API Server」を導入し、現行データベースに対して
 「REST API」の受け口を追加設置(自動生成)します。「CData API Server」を利用することで、
 ノンプログラミングで容易に REST API インタフェースをアドオンすることが可能です。
2.新システム側に対して「CData Drivers」を導入し、1.で作成した現行システムの「REST API」
 に対して「標準SQLの発行」だけでデータの入出力が可能なように構成します。
3.新システムから現行システムに対して、通常のRDBへの接続と同様にSQLを発行することで、
 CData DriversがREST APIへ自動変換し、現行システムに対するデータ入出力を実現します。

~ 移行フェーズ ~
4.現行システムのデータを新システムのデータベースへ移行した上で、 新システムの接続先データ
 ベースを「新システム用データベース」へ変更します。 並行運用フェーズの時も、新システム側
 ではデータベースに対してSQL発行していただけですので、単純に接続先データベースを「新シス
 テム用データベース」に向けてあげるだけで、新システム用データベースでの運用を開始すること
 が可能です。

新システム側には、1で作成したREST APIを直接コールするような追加プログラムは一切作成しません。ここがポイントです!
新システム側からは、あくまで「標準SQLを発行」しているだけですので、移行完了後は接続先データベースを新システム側のDBに向けるだけで運用を継続することが可能になります。移行に際するプログラム開発も不要ですし、何よりもデータベースの参照先を変更するだけで新旧システムの切り替えを実現することが出来るため、移行/切替のリスクを最小限にすることが可能になります!

前述のようなツールを有効活用しつつ、ポイントを絞ったシステム刷新を行っていくことによって、システム刷新のハードルを下げることが可能であり、業務の進化や会社の発展に応じたシステム刷新を実現することが可能になります。これにより、業務の遂行を手助けする「道具」である「業務システム」という位置付けを再確認することが可能になるのと共に、本来の意味での「システム活用」を実現することが可能になるのではないでしょうか?一つのシステム刷新プロセスとして検討してみて頂けたら幸いです。

文責:天井 誠一

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